データベース版「OSC2011 .DB」盛況のうちに終了!

No Comments
このエントリーをはてなブックマークに追加

オープンソースカンファレンス2011.DB (OSC.DB) 実行委員の赤井です。

OSC.DB(2011年11月5日開催)は、2008年以来の開催となりました。
現在OSCは、いろいろな都市を中心にした開催となっています。そんな中で、
OSC.DBは、唯一のアプリケーションに特化したOSCとなります。

今回は、日本オラクル株式会社 MySQLグローバルビジネスユニットの皆さまの
ご協力により、日本オラクル社本社をお借りして、大きなイベントを開催する
ことができました。




■OSS.DB 開催当日

企業のオフィスをお借りすることもあり、今回は、セキュリティについての注意が
必要であったことが、通常のOSCとの大きな違いだと思います。OSCの場合、
時間ができたので、急に参加できることになりましたという方も多いのですが、
今回は、事前登録が必要ということになりました。

日本オラクルさんには、セミナールームだけでなく、無線LANについても開放して
いただけたため、ITイベントでよく発生するWiFiが乱立するということもなく、
参加者のみなさんには、ストレスなくネットを活用していただけたのではないか
と思います。

当日のセッションプログラム

午前セッション

午前中のセッションは、過去の3回の開催と同様、PostgreSQL, MySQL, Firebirdの
ユーザー会の方々に、最新アップデートや将来のロードマップ、周辺の新しい機能
などを紹介いただけました。

特に、Firebirdのセッションは、漫才の掛け合いでプレゼンが進むという、あまり
多くは見られないスタイルでした。今後も、このような形のセッションが増えるかも
しれません。

▼Firebirdのセッション

午後セッション

午後のセッションは、2部屋を使って、コミュニティのセッション以外に、企業
セッションもあり、データベースそのものにとどまらない、ソリューションの話
を含んだ内容となりました。



データベースという観点では、運用・管理ツールの充実や各種認定資格などの
話もあり、現在、オープンソースデータベース持つ課題(運用をどうするか?
人をどうするか?)に対して、いろいろな取り組みが実施されてきていること
がわかります。



最後は、OSC.DB恒例のパネルディスカッションです。
第1部は、コミュニティ最新情報アップデート、第2部は、人材育成について
実施されました。

各コミュニティのアップデートとして、活動状況の話をお願いしました。

永安さん(PostgreSQLユーザ会)によれば、
1. 情報提供(マニュアル翻訳など)、
2. 人を育てる(セミナーなど)
3. 人をつなぐ(懇親会など)
をポイントに活動しているそうです。

とみたさん(MySQLユーザ会)は、発足当時は、MySQLの日本語での情報が
少なかったので、日本語化を含めた情報を提供し、MySQLの普及、ユーザー間
の交流を目的に実施してきたそうです。前者の2つは、達成されるようになり、
最近は、コミュニケーションということで、飲み会などの集まりが中心になって
いるとのことです。

濱野さん(Hadoopユーザー会)からは、最近実施された、「Hadoop Conference
Japan 2011 Fall」を紹介していただけました。参加者は1178名。そのうち
Hadoopを使ったことがない人が過半数ということから、情報収集が目的の参加者
が多かったのではという指摘をされていました。

木村さん(Firebirdユーザー会)は、 レベルがいろいろあって勉強会のテーマ
が難しいということも指摘されていました。

第1部で話題になったところは、各コミュニティともに、メーリングリストでの
情報交換の量が減っていく傾向にあることが指摘されています。これは、データ
ベースコミュニティに特有な状況ではないようです。 では、どのようにして、
多くのエンジニアの方々が、情報を入手しているのか?という問いが、パネラー
から出されてました。会場での聴講者にアンケートをとってみると、オンライン
メディアが多いという回答が予想通り多かったのですが、同時に、多くの方が
紙のメディアから、情報を入手しているということは印象的でした。そして、
メーリングリストやSNSで情報入手している割合が低い状況でした。

▼パネルディスカッションの様子


第2部での人材育成での、印象に残った言葉です。
「オープンソースデータベースを企業に提案する場合の課題や学ばなくてはなら
ないことは、どういうものか?」という質問に対して

◇ 梶山さん (オラクルMySQLビジネスユニット)
データベースの基本は変わらない。高可用性、バックアップ・リカバリ、運用監視
などは、どのデータベースでも必要になる知識である。

◇ 永安さん(アップタイムテクノロジー)
データベースの本質は、いつも一緒ある。

「オープンソースデータベースを教える教育や資格についてと、それらの教育と
OJTは、どちらが有効かなのか?」という問いに対して、

◇ 濱野さん
いつも対立する議論ではあるが、両方とも大切だと考えている。 尖ったエンジ
ニアは資格試験は十分じゃないというが、必要だと考えている。資格試験勉強を
すると「こんなの使わない」ということを言う場合もあるが、現場での経験だけ
では、知識に偏りがでることがある。 後々で役に立ったりすることも多い。

◇ 梶山さん
細かいオプションやコマンドを出してどうする話もある。しかし、それらを知って
いれば、シェルスクリプトなどで処理しなくてもよくなることがあるもある。

◇ 松田さん
10年前にLPIC試験を始めた。 Linuxの用途としてWebサーバーが多く、バック
には、データベースがある。そのため、OSS-DB試験をはじめた。

会場からの、「DBだけではなくてシステム全体の知識が必要ではないか?」という
質問に対して、

◇永安さん
そう思う。DBエンジニアは、データベースだけでなく、ハードも、アプリも
知ることができる。運用の知ることができる。そのため、すべての基礎に
なっていけると思っている。


定番である質問「商用データベースから、OSS DBへ移るときの抵抗感、障害」と
いうのはどういうものかという点に対して

◇ 松田さん(LPI-Japan)
商用のほうが機能が多く、かゆいところに手がとどくこと。

◇永安さん
いちばん足りないのはプリセールスだと思う。リスクを取って「できます」と
言い切る人が必要である。

◇ 濱野さん
OSSには、そのままで商用と同じように使えるということは多くないが、
スクリプトなどのいくつかの機能の組みあわせれば、解決できることが多い。
「新規のシステムはできるだけOSSでやろう」という気持ちが重要。

など、さまざまな意見が提示されました。非常に興味深いディスカッションに
なったと思います。

最後に、ライトニングトークを実施して、今回のOSC.DBは終了しました。

今回は、日本オラクルさんのきれいなオフィスを使用させていただき、参加者の
方々にとっても、うれしかったのではなかったかと思います。

「来年、またOSC.DBを」ということが会場より、あがりましたので、また、
開催できるようにがんばりたいと思います。


展示ブースの様子

Comments are closed.